Habi-Laboの研究会では,必ずと言っていいほど語られる『4つの支援領域』というのがあります。この『4つの支援領域』は,菅野 敦(2008)が提唱したもので,生涯発達および地域生活において「モレなく」「総合的に」支援するために必要な領域を4つとしたものです。

この『4つの支援領域』は,AAMR(アメリカ精神遅滞協会,現AAIDD:アメリカ知的障害・発達障害協会)第9版で提示されている適応行動の10領域と,WHOが作成したICF(国際生活機能分類)の活動と参加要素に含まれる9領域とを統合して導き出されたものです。

具体的には,①学習・余暇支援領域(まなぶ・たのしむ),②自立生活支援領域(くらす),③作業・就労支援領域(はたらく),④コミュニケーション支援領域(かかわる)の4領域です。

生涯発達・地域生活支援の4領域:菅野 敦(2008)より改変

①学習・余暇支援領域【まなぶ・たのしむ】

「余暇活動や社会資源の利用といった,豊かで幅広い社会生活を送るために必要な領域」です。学習には,探す,集める,調べる,表現する,発表するといった活動が含まれます。また,余暇には,音楽,美術(絵画,陶芸など),運動(水泳,ボーリングなど),外出(外食など)といった学習を基礎とすることでより楽しめる活動が含まれます。この領域は,生涯にわたって支援が必要な領域でもあります。

②自立生活支援領域【くらす】

「食事・排泄・着脱などの身辺処理や,清掃・洗濯・調理・整容など日常生活の活動に関する領域」です。いわゆるADL(Activity of Daily Living:日常生活動作)や,IADL(Instrumental Activity of Daily Living)と言われる項目が該当します。この領域は,本来であれば乳幼児期に最も中心的に指導が行われ,加齢とともに徐々に指導から援助へと移行していく領域です。

③作業・就労支援領域【はたらく】

「作業や仕事において求められる技術や態度」が含まれます。一般企業での仕事,福祉サービス事業所での作業活動で必要とされる知識・技能,態度,思考力・判断力に加え,就労をする際に必要とされるさまざまな能力に関係する領域です。この領域は,青年期から成人期に集中的に指導が行われる必要があります。

④コミュニケーション支援領域【かかわる】

「行動障害の軽減も含め,他者との円滑な社会生活を送るために必要なコミュニケーションに関する領域」です。コミュニケーションに関する領域の支援は,やりとり,要求といった段階から,報告・連絡・相談,さらには相手の気持ちをつかむといった段階までを含んでいます。この領域は,一生涯を通じて行われる必要があります。

引用文献:菅野 敦(2008)障害児者の理解と教育・支援-特別支援教育/障害者支援のガイド,第4章:障害児者理解と支援のための基本的な考え方,金子書房,pp.33-35

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