2021(令和3)年9月16日に行われた社会保障審議会障害者部会(第118回)で,厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課から今後の障害者に対する就労支援の方向性について,資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000832519.pdf)が提示されています。そこでは,就労支援の現状,課題,検討の方向性が示されています。

現状については以下のように報告されています。就労移行支援事業は2018(平成30)年以降,利用者数,事業所数ともに減少しているものの,一般就労への移行者の割合(移行率)は徐々に上昇しており5割を超えています。就労定着支援事業は就労移行支援事業所数の半数に満たない状況です。就労継続支援A型事業は,利用者の平均賃金が上昇傾向にはあるものの,利用者の工賃をサービス給付費で補填している実態が残っています。就労継続支援B型事業では,工賃工場の取り組みになじまない利用者が増加している実態があります。

このような現状の中で,4つの課題が指摘されています。1つ目が,「就労能力や適性を客観的に評価し,可視化していく手法」が確立されていないこと。2つ目が,雇用・福祉分野で障害者の就労支援に携わる人材の「基礎的な知識やスキルが不十分である」こと。3つ目が,福祉から雇用,雇用から福祉への段階的な移行を進めるためには,雇用されている間に就労継続支援事業所の利用が必要となること。4つ目が一般就労後の定着支援のためには地域の支援機関の連携を強化する必要があること,とされています。

このような課題を解決するために,6つの検討の方向性が挙げられています。①企業等で雇用されている間における就労継続支援の利用を可能とする,②新たな就労アセスメント(ニーズの把握と就労能力や適性の評価)を制度化する,③基礎的研修の確立,専門人材の高度化に向けた階層的な研修の創設,④障害者就業・生活支援センターによる就労定着支援事業の実施を可能とする,⑤障害者就業・生活支援センターが地域の支援機関に対するスーパーバイズや困難事例の対応といった基幹型の機能を担う,⑥就労継続支援A型事業の在り方や役割を整理する,の6点です。

個人的に気になるのは『②新たな就労アセスメント』です。誰が作るんでしょう。就労能力や適性に含まれる項目はどんなものなのでしょう。興味があります。

【文:伊藤 浩】

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